2026年1月★臨時号(高1~3)牛乳や乳製品でお腹がゴロゴロする人へ
※解説やもっと知ってほしいことなどは、ドラッグレターの下に書いてあります。
解説やもっと知ってほしいことなど
乳糖不耐症とは?
母乳、牛乳や乳製品などに含まれる乳糖(ラクトース)※1は、小腸で産生される乳糖分解酵素のラクターゼによってブドウ糖(グルコース)※2とガラクトース※3に分解(消化)され、小腸から吸収されます。
しかし、ラクターゼの産生量が減ると小腸で乳糖を分解できなくなります。
その結果、高濃度になった乳糖が小腸に水分を引き寄せるため、水様性の下痢が起こりやすくなります。
また小腸で分解されなかった乳糖は大腸へ移動し、大腸の中の細菌によって分解(発酵)されてガスが生じ、このガスによって放屁(おならが出る)、腹部膨満(お腹が張る)、差し込むような腹痛や吐き気が起こってしまいます。
このような仕組みによって腹部症状が生じるのが乳糖不耐症です。
乳児はラクターゼの産生量が多く、母乳、牛乳や乳製品などに含まれる乳糖の消化が可能です。
しかし、多くの民族(黒人とヒスパニック系では80%、アジア系では90%以上)では離乳後にラクターゼの産生量が減少してしまいます。
これらの民族の年長児や成人はラクターゼの産生量減少により、大量の乳糖を消化できなくなります。
ちなみに、日本人の4~5人に1人は乳糖不耐症の症状がみられると言われています。
一方、欧州北西部に起源をもつ白人の80~85%は、生涯にわたってラクターゼが産生されるため、成人になっても牛乳や乳製品を消化することができます。
※1
乳糖(ラクトース)は二糖の一種。甘みは弱い。
※2
ブドウ糖(グルコース)は単糖の一種。生体にとって重要なエネルギー源の一つ。脳にとっては唯一のエネルギー源。甘みは中程度。
※3
ガラクトースは単糖の一種。生体内の各組織において糖脂質や糖タンパク質の一部となる。またエネルギー源にもなる。甘みは弱い。
乳糖が含まれている身近な食品(100 gあたりに含まれている量)
・パン(0.2 g) ・無発酵バター(0.5 g) ・チーズ(2.4 g) ・生クリーム(2.7 g)
・牛乳(4.4 g) ・バニラアイスクリーム(4.6 g) ・粉ミルク(50.7 g)
ヨーグルトはその中に含まれる乳酸菌がラクターゼを産生するため、またチーズは乳糖の含有量が少ないため、摂取量にもよりますが、乳糖不耐症は起こりにくいと言われています。
乳糖不耐症になりにくい人はどんな人?
個人差はありますが、子供の頃から牛乳や乳製品を摂取し続けてきた人は、ラクターゼの産生量がある程度維持されているため、乳糖不耐症は起こりにくいと言われています。
牛乳アレルギーと乳糖不耐症は別物です!
牛乳アレルギーは食物アレルギーの一種で、牛乳に含まれるタンパク質が原因となり、腹痛、吐き気のほか、体中に赤みやぶつぶつが出たり、ときにはアナフィラキシーショックを引き起こすなど、命にかかわる危険な状態になることがあります。
これに対して乳糖不耐症は腹部症状が引き起こされるだけで、命にかかわる危険な状態になることはありません。
乳糖不耐症の検査方法
乳糖不耐症が疑われた場合、検査によって確かめることができます。
簡単な検査方法の場合、3~4週間、乳製品を除いた食事を続けて乳糖不耐症と思われる症状を消失させ、その後乳製品を摂取したときに症状が再び現れるかどうかで診断します。
症状だけでは診断できない場合、特殊な検査の水素呼気試験※4を行って診断します。
※4
小腸で分解・吸収されなかった乳糖は、大腸で分解される際に水素を発生します。水素呼気試験はこの仕組みを利用する検査です。検査では少量の乳糖を摂取してもらい、乳糖の摂取前と摂取後に吐く息に含まれる水素の量を1時間ごとに測定し、乳糖の摂取後に吐いた息に含まれる水素の量が著しく増加した場合、乳糖不耐症と診断されます。
医薬品の中には乳糖が含まれているものがあります
乳糖不耐症の人、乳糖不耐症かもしれない人は、乳糖不耐症あるいはその疑いがあることを医師や薬剤師に伝えましょう!
参考・引用:
・MSDマニュアル:「乳糖不耐症」
・千葉市医師会HP:『上手なお付き合いで栄養摂取を「乳糖不耐症」』
・農林水産省HP:「もっと知りたい!牛乳のチカラ」
・文部科学省:「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年炭水化物成分表編」
・長野県医師会HP:『「乳糖不耐症」と「牛乳アレルギー」』