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2026年7月号(高2)アナフィラキシーが起こったときの対処法

※解説やもっと知ってほしいことなどは、ドラッグレターの下に書いてあります。

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解説やもっと知ってほしいことなど

アナフィラキシーとは

アレルギーを起こす原因物質である抗原(アレルゲン)が体内に侵入後、免疫が過剰に働き、5~30分で全身に症状が出る強いアレルギー反応のこと。
食品(小麦、そば、卵の白身など)、ハチ毒、医薬品、ラテックス(天然ゴム由来の成分)などがアレルゲンになりやすいことが分かっています。

初めてアレルゲンを食べたり、アレルゲンに触れた時、いきなりアナフィラキシーが起こることはまれで、たいていは軽いアレルギー反応のみです。
しかし体は、アナフィラキシーがいつでも起こってしまう準備段階になってしまうのです。
これを専門用語で感作(かんさ)といいます。
ハチに刺された場合、1回目よりも2回目以降の方が危ないと言われているのは、そのためです。

アナフィラキシーが重度の場合、ショック状態(全身の臓器・組織への血流が悪くなる生命危機の状態)になり、死に至ることがあります。
アナフィラキシーにより死に至る確率は100万人あたり0.03~0.51人と言われています。
国内では毎年数十人が亡くなっており、その主な原因は治療の遅れです。

救命現場では、心臓停止、呼吸停止、また大量出血した後の経過時間と死亡率の関係(目安)をグラフ化した「カーラーの救命曲線」が利用されています。
カーラーの救命曲線によれば、呼吸が停止してからの死亡率は約3分までは上昇しませんが、約10分で50%、約15分で80%以上となります。
また心臓が停止してからの死亡率は約1分後から上昇し始め、約3分で50%、約5分で100%近くになります。

「カーラーの救命曲線」(救える命を、救いたい – 総務省消防庁 より)

もしアナフィラキシーが重度(ショック状態)の場合、数分で死に至ることがあります。
死に至る過程では十分な呼吸ができなくなったり、血圧が低下して血流が悪くなった状態などが続くため、運よく救命できたとしても脳に十分な酸素が行き渡らなかったことにより低酸素脳症となり、手足のまひや意識障害などが残る可能性が高くなります。

 

エピペン(注射薬)

食品やハチ毒などにアレルギーを持つ人は、『エピペン』(成分:アドレナリン)という注射薬を自分で持っている、もしくは学校の保健室などで保管しています。
アナフィラキシーが重度の場合、放置すると死に至ることがあります。
そのため医師の治療を受けるまでの間、症状の進行を一時的に遅くし、ショック状態になることを防ぐため『エピペン』が必要になります。

・体中に赤み、ぶつぶつが出る
・くしゃみや強い咳が出る
・顔が青白くなり、立っていられない
・ゼーゼーする呼吸
・腹痛、吐き気

などの症状が複数同時に現れたらショック状態になりやすいので、直ちに『エピペン』を注射し、その後すぐに救急車を呼びましょう

『エピペン』は本人が自分で注射できない場合、周囲の人が本人に注射してあげてもかまいません
『エピペン』を注射する場所は太ももの前面から外側に約45度の部分で、ズボンの上からでも注射できます
アナフィラキシーかどうか迷ったら、『エピペン』を注射してください。
ショック状態までならない人に『エピペン』を注射しても健康被害はないか軽微なので、死に至るよりマシと考え、ためらわず『エピペン』を注射してください。

 

<『エピペン』の使い方>

1. 準備
携帯用ケースのカバーキャップを指で押し開け、『エピペン』を取り出します。
オレンジ色のニードルカバー(針カバー)を下に向けて、『エピペン』のまん中を片手でしっかりと握り、もう片方の手で青色の安全キャップを外してロックを解除します。
(オレンジ色のニードルカバーの先端に指などを当てると針が出てくるため、絶対に当てないでください。)

2. 注射
エピペンを太ももの前外側の部分(太ももの前面から外側に約45度の部分)に、さらに太ももに対して垂直になるようにした後、オレンジ色のニードルカバーの先端を太ももに「カチッ」と音がするまで強く押し付けます。
太ももに押し付けたまま数秒間待ち、その後、『エピペン』を太ももから抜き取ります。
(緊急時は、衣類の上から太ももに注射してください)

3. 確認
注射後、オレンジ色のニードルカバーが伸びている(長くなっている)かどうかを確認します。
ニードルカバーが伸びていれば注射は完了です(針はニードルカバー内にあります)。

4. 片付け
使用済みの『エピペン』は、オレンジ色のニードルカバーの方から携帯用ケースに戻します。
(注射後は、オレンジ色のニードルカバーが伸びているため、携帯用ケースのふたは閉まりませんので、無理に閉めようとしないでください)

以下のサイトから、動画を視聴することができます
(VIATRIS HP エピペンサイト https://www.epipen.jp/top.html

 

ネフィー(点鼻薬)

2026年2月、アナフィラキシーが起こったときに使う治療薬として『ネフィー』という点鼻薬(鼻の中に薬液を噴霧する薬)が発売されました。
成分は『エピペン』と同じアドレナリンです。
また『エピペン』と同様に本人が自分で点鼻できない場合は、周囲の人が本人に点鼻してあげてもかまいません

食品やハチ毒などでアナフィラキシーを起こす可能性があり、補助治療薬の『エピペン』や『ネフィー』を所持しておく必要がある人は、どちらの補助治療薬が自分にとって確実に使えるかを医師とよく相談の上、処方してもらってください。

『エピペン』と『ネフィー』の共通点や違いを表にしました。

名称
(上:商品名、下:一般名)
エピペン
(アドレナリン注射液)
ネフィー
(アドレナリン点鼻液)
適用 蜂毒、食物および薬物等に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療(アナフィラキシーの既往のある人またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い人に限る) 左に同じ
使い方 太ももの前外側の部分に注射する
〔1回分のみ充填されているため、試し打ちは不可〕
容器の先端を鼻の中に約1 cm挿入してから、カチッと音がするまでボタンを強く押して噴霧する(噴霧中や噴霧後に鼻をすすらないようにする)
〔1回分のみ充填されているため、試し噴霧は不可〕
効果発現の速さ 概ね1分以内
〔筋肉内注射のため、速やかに、かつ確実に効果が得られる〕
エピペンよりわずかに遅い
〔鼻汁が多かったり鼻閉状態の場合、効果の発現はさらに遅くなるが、効果は得られる〕
投与後の対応 救急車を呼び、病院へ搬送する 左に同じ
課題 注射薬のため投与に躊躇する可能性が高い(特に周囲の介助する人) 鼻腔内に真っすぐ噴霧されなかった場合は、効果の確実性は低くなる
保管方法 室温保存可能 左に同じ
薬価(2026年4月1日現在)
〔3割負担の方は薬を受け取る際、薬の金額分だけで表の3割の額を支払う〕
0.15 mg製剤:9,672.0円/筒
0.3 mg製剤:10,197.0円/筒
1 mg製剤:22,975.3円/瓶
2 mg製剤:24,672.1円/瓶
日本での使用実績 発売から20年以上
〔使用上の不具合・問題点などのデータも十分蓄積されている〕
2026年2月発売
〔使用上の不具合・問題点などのデータはこれから蓄積される〕

 

参考:
・アナフィラキシーガイドライン2022
・総務省消防庁「救える命を、救いたい」(https://www.fdma.go.jp/en/items/en_03.pdf
・消費者庁「消費者安全法第23条第1項に基づく事故等原因調査報告書」(https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/report/report_003/pdf/140620_gaiyou.pdf
・エピペン 添付文書、インタビューフォーム
・ネフィー 添付文書、インタビューフォーム
・エピペンガイドブック(https://www.epipen.jp/download/EPI_guidebook_j.pdf
・日経メディカル「アドレナリン点鼻液・ジアゼパム点鼻液が教職員なども使用可能に」(2026年4月23日)
・日経メディカル「アナフィラキシー初期対応に活躍期待される点鼻薬ネフィー、利点と課題を整理!」(2026年5月13日)

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