2022年3月号(高1)湿布薬・塗り薬による重い副作用、光線過敏症について知っておこう!
※解説やもっと知ってほしいことなどは、ドラッグレターの下に書いてあります。
解説やもっと知ってほしいことなど
光線過敏症が現れた時の対処法
光線過敏症を起こしてしまったら、起こした部分(皮ふ)にさらに紫外線が当たらないようにし、皮ふ科を受診しましょう。
副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)の塗り薬などが処方されますので、指示にしたがいしっかり塗ってください。
回避方法
光線過敏症は、薬を使った部分(皮ふ)を濃い色の服や、サポーターで覆って紫外線が長時間当たらないようにすれば回避可能です。
薬を使っている時だけでなく、使い終わった後も皮ふの中に4週間近く成分が残るため、使用後4週間は紫外線を当てないでください。
また紫外線の一部はガラスを透過するため、戸内や車内でもガラス越しに紫外線が当たらないようにしてください。
紫外線を通しにくい衣類など
<紫外線を通しにくい>
・濃い色(黒やネイビー、ダークグレーなど)の衣類
・ポリエステルなど厚みがあるもの
・織り目が細かいもの(電気にかざして光を透過しにくいもの)
<紫外線を通しやすい>
・淡い色(白やクリーム色など)の衣類
・シルクやナイロンなど薄いもの
・織り目が粗いもの(電気にかざして光を透過するもの)
厚い生地で作られているサポーターは紫外線を通しにくいため、色は問いません。
日焼け止めの選び方
濃い色やポリエステルなどの衣類のほか、サポーターにより紫外線を防ぐという方法は、光線過敏症の回避方法として効果的ですが、この方法が難しいときは日焼け止めを使いましょう。
日焼け止めの選び方のポイントは(1)PA++++を選ぶ、(2)ノンケミカルタイプを選ぶ、の2つです。
(1)PA++++を選ぶ[UVA、UVBについては下で説明します]
・日焼け止めにはPA(UVAから肌を守る指標)とSPF(UVBから肌を守る指標)が表示されています。
・詳しくは光線過敏症はUVAによって引き起こされるため、PAの+の数をよく確かめて選んでください。
・UVAの防止効果は「PA+」~「PA++++」の四段階で表示されているので、最もUVAを防ぐ効果が強い「PA++++」を選びましょう。
(2)ノンケミカルタイプを選ぶ
・日焼け止めを使うときには、紫外線散乱剤である「酸化チタン」や「酸化亜鉛」などが入っている「ノンケミカルタイプ」の日焼け止めを選びましょう。
(「ケミカルタイプ」といわれる紫外線吸収剤が入っている製品を選んではいけません)
日焼け止めは2~3時間ごとに塗り直す必要があります。
日焼け止めは2~3時間ほど経つと汗をかいたり衣服がすれたりして、塗った日焼け止めにムラができたり、落ちてしまい効果が期待できなくなってしまうからです。
皮ふの上に、ムラなく、しっかり乗っかるように塗り直してください。
紫外線の種類について
地上に降り注ぐ紫外線(UV)は、UVAとUVBの2種類です。
UVB
・UVBは皮膚表面に作用します。
・皮ふのシミやそばかすの原因になる紫外線です。
・体の中でビタミンDを作るのに必要な、ありがたい紫外線でもあります。
・大量・長時間浴びると皮ふが赤くなってヒリヒリし(サンバーン)、この時メラニンがたくさん作られます。数日後、作られたメラニンが表皮に沈着してくることで皮ふが黒くなります(サンタン:二次黒化)。
・ガラスをほとんど透過しないので、ガラス越しに浴びてもサンバーンは起こりませんが、ビタミンDも作られません。
UVA
・皮膚表面よりも深いところ(真皮)まで届きます。
・皮ふのシワやたるみの原因になる紫外線です。
・UVAを浴びると短時間で皮ふがわずかに黒ずみます(一次黒化)。これは既に皮ふに存在していた無色のメラニンが黒ずむためですが、黒ずみは数時間で消失します。
・大量・長時間浴びてもサンバーンは起こりませんが、サンタンは起こります。
・ガラスを透過するので、ガラス越しに浴びているとサンタンを引き起こし、また皮ふのシワなどにもつながります。
(UVカットカラスであれば透過しません)
・光線過敏症を引き起こします。
今回は外用薬(湿布薬と塗り薬)による場合を紹介していますが、一部の飲み薬を服用した後に紫外線を長時間浴びても光線過敏症を起こす場合があります。
そのような飲み薬(ほとんどが医療用医薬品です)を服用するときは、薬剤師等から受ける注意をきちんと守ってください。
参考: 医学書院 今日の治療指針2020
アウタースキンラボ(花王) https://outerskin.jp/article/kenmochi_column12.html
久光HP https://www.hisamitsu.co.jp/medical/safety.html