2025年7月★臨時号(高1~3)梅毒の危険性と検査の重要性
※解説やもっと知ってほしいことなどは、ドラッグレターの下に書いてあります。
解説やもっと知ってほしいことなど
梅毒と間違われやすい性感染症や皮膚疾患
性感染症 | 帯状疱疹 | 膿痂疹(とびひ) | ||||
梅毒 | 性器ヘルペス | 尖圭コンジローマ | 伝染性単核球症 | |||
原因 | 梅毒トレポネーマ(細菌) | 単純ヘルペスウイルス | ヒトパピローマウイルス | エプスタイン-バーウイルス | 水痘帯状疱疹ウイルス | 黄色ブドウ球菌、連鎖球菌 |
潜伏期間 | 約3週間 | 2~10日 | 3週~8ヶ月 | 30~50日 | 数十年 | 2~5日 |
主な症状 | 第1期 ・しこり(口、性器) ・太ももの腫れ第2期 ・発疹(手、全身) ・膨らみ(性器) ・発熱、疲労感第3期 ・炎症が進行(全身) ・柔らかいこぶ(皮ふや骨など) |
・発疹(性器) ・しこり(性器) ・かゆみ ・発熱 ・疲労感 |
・発疹(性器) ・しこり(性器) ・かゆみ |
・発疹(全身) ・しこり(全身) ・発熱 ・咽頭炎 |
・発疹(体の左右どちらか) ・しこり(体の左右どちらか) ・水ぶくれ |
・発疹(全身) ・しこり(全身) ・かゆみ ・水ぶくれ |
痛みの有無 | なし | あり | あり | あり | あり | わずかにあり |
治療法 | 抗生物質(注射、内服)など | ウイルスが増えるのを防ぐ薬(内服、外用、点滴)など | 外科的切除、外用薬塗布など | 安静、鎮痛薬など | ウイルスが増えるのを防ぐ薬、鎮痛薬など | 抗生物質(軟膏、内服)など |
治癒後の再発の可能性 | まれにあり | 高い(潜伏感染による再活性化) | あり(治療後3ヶ月以内に約25%で再発) | まれにあり | まれにあり | 高い(潜伏感染による再活性化) |
予防方法 | 性的接触の回避 | 性的接触の回避 | ワクチン接種 | 性的接触の回避 | ワクチン接種 | 皮膚や手指を清潔に保つ |
梅毒の影響:眼や耳などへの症状について
梅毒では、どの段階であっても眼や耳などに影響を及ぼす可能性があります。
・眼の症状:涙目、かすみ目、眼痛、光への過敏、視力障害など
・耳の症状:雑音が聞こえる(耳鳴り)、聴力低下、めまい、眼振(眼球が一方向にすばやく動いてから、それより遅い動きで元の位置に戻ることを繰り返す現象)
・関節の変性:関節が腫れて、動きが制限される〔神経病性関節症(シャルコー関節)〕
ワクチンはある?
梅毒のワクチンはありません。
市販薬はある?
梅毒に効く市販の医薬品はありません。
治療には医療用の医薬品が用いられますので、医療機関を受診する必要があります。
治療薬
医療用の飲み薬、または注射の2種類があります。
・飲み薬の場合:4週間服用します。
・注射の場合:筋肉に注射します。早期梅毒(感染から1年未満)では1回、後期梅毒(感染から1年以上)では週1回のペースで計3回注射します。
治療費用
梅毒の治療では医療保険が使えますが、家族に知られたくないなどの理由で医療保険を使わない場合は「自由診療」となります。
・保険適用(3割負担)の場合:3,000~5,000円程度
・自由診療(全額負担)の場合:10,000~15,000円程度
参考
・日本性感染症学会:「性感染症 診断・治療 ガイドライン 2020 梅毒の項」
・公益社団法人日本婦人科医会:「第2回 最新の梅毒診療:診断編」
・MSDマニュアル:「梅毒」、「伝染性単核球症」、「帯状疱疹」、「膿痂疹と膿瘡」
・MEDIC MEDIA:「病気がみえるvol.6 第2版」